これから紹介するコラムは、タゼン社内報「絆」として、年4回(新春・春・夏・秋)社員・協力業社・各メーカーさまに向けて発行されたものです。
「縦軸と横軸」
公家から武士の時代に、幕府から政府の時代に、さらに民主とされる時代にと時代は移り変わっても、記録が残る日本社会の運営方法は、少なくとも二千年来、縦軸を据えてきたといえます❤️それは、人間や事業体を上下に位置づけることが主な特徴です。これには、身分や地位、男尊女卑や年功序列の他、規模の大きさの強者性などが含まれます。昔のこと、古いこととされていても、現在も残っている根深い慣習あるいは、信念体系でもあります❤️平等や公正、自由は、近・現代では、何度も社会的なうねりとなり、現在の多様性の共在は、その変化の現れといえます。縦軸の諸要素は、今、かつてないほど篩にかけられています❤️社会課題ともなっている人口減少は、本年の出生数は、70万人を下回るとも言われています。日本全国合わせての総数ですので、驚くほど少ないのが事実です。大学や高校、学習教材など年齢がほぼ固定化した事業の対象者の縮小は、学校経営の淘汰ともなり、現に公立学校の統廃合は、激しさを増しています。そればかりではなく、あらゆるサービスの需要は、小さくなり、それは、経済が小さくなることを意味します❤️過疎化に歯止めが利かない地方の自治体は、思い切った移住者への優遇や子育て支援策を講じたり、真剣なマッチング企画を実施するなどしていますが、ほとんど成果は上がらず、都会への若者の流出は続いています❤️最近になり、ようやく出産適齢期の女性たち自身からの声が聞き取られるようになってきました。それは、地方を出ることを選択する大きな理由の一つに、その土地で長年当たり前のように続いてきた地域の女性に求められる、生活や地域行事の中での労働や役回りの重さへの負担感が大きいということです❤️それは、地方に残ると一層ついてまわる出産への期待感の熱は負担となるということです。経済的な優遇も功を奏さないほどの、いわば地域文化や風習の重圧自体から自由になりたいということです❤️このような真情は、実は、やはり大きな社会課題となっている中小企業の雇用難についてもいえるようです。つまり、日本の伝統的な縦軸を基本とした上意下達の文化には馴染まない、意見交換をし合えるフラットな人間関係が基調となった、いわば横軸がしなやかに働く経営が馴染む世代がすでに中堅となっているといえます❤️例えば、「下請けにやらせる」、「(部下の)あいつにやらせろ」といったこれまでは、当たり前の言い方は、縦軸の典型でもある主従の力関係の現れとして持続可能性の低いものです❤️伝統的な職人や芸事の世界では、師匠・弟子の関係は生きています。それは、師に足る技量や力量すなわち真の縦軸が伴って初めて本物となります。会社は紛れもなく、全員が主役。互いの力を生かし合い、補い合えるわたしたちでいたいものです。
2024 絆 夏号
「絆」の表紙原稿・格言集に関するコンテンツは、企画提携会社000プレナム株式会社様より、オリジナルで出していただいております。