銅のフライパンを作った感想(中学生・男子)
僕は、夏休みに株式会社タゼンで、銅のフライパン作りをしました。全体で3時間程度かかりました。
銅のフライパンは、平らな銅板を木づちや金づちで叩いて形にする、「鍛造」という方法でつくります。はじめに、丸い銅板を木づちで叩いて、作業台のくぼみに合わせて少しずつ立体にしていきます。ある程度形ができてきたら、銅板を熱して軟らかくしてから、今度は金床にあてながら木づちで叩いてさらに高さを作ります。このように、叩く作業と熱して軟らかくする作業を繰り返して、フライパンの形にしていきます。
取っ手の部分は、角のとれた定規のような板を金づちで打って湾曲させて作ります。湾曲させた取っ手は、フライパンの本体にリベットで留めます。
仕上げとして、フライパンの内側に熱して溶けたすずをきれいに広げてコーティングし、最後に、取っ手部分の持つ所にひもを巻いて完成です。
この手順の中で難しかったのは、平らな銅板を木づちで叩いて高さを作るところでした。しかし、田中善さんに手本を見せてもらって、自分で作ることができました。
僕がこの体験を通して思ったことは、人の手で作るものは世界に一つしかないものなので、大切に使い続ける必要があるということです。
日々の道具づくり体験の感想(50代・父親)
中学生の息子と一緒に、「日々の道具 材料キット」を使った銅製の調理器具づくりを体験しました。
親子で体験したいと思った理由は、子育てをする中で、時短やコスパを追求したり、利便性の高いサービスを利用したりすることが、自分達の暮らしの豊かさに必ずしも結びついていないのではないかと感じていたからです。そこで、自分達の暮らしに必要なものは自分達の手でつくるという、本来は当たり前の感覚を子どもと共有できればと考えました。
体験では、御銅師(おんあかがねし)の田中善さんに指導して頂き、僕は約5時間かけて「片手鍋」をつくり、息子は約3時間かけて「フライパン」をつくりました。こう書くと長時間のように感じますが、実際には夢中になって銅板を叩き、あっと言う間に時間が過ぎていました。
プロの料理人には銅製の調理器具を愛用する方が多いそうですが、今回の体験でつくった片手鍋やフライパンはかなりの優れ物で、日々の道具として我が家でも大活躍しています。
銅製品は長く使って自分の色に育てていくのも醍醐味だそうで、息子曰く、将来一人暮らしを始めたら、自分でつくったフライパンは持っていくのだとか。
今回の体験は、一生ものの道具をつくるという経験を親子で共有し、日々の暮らしを少し豊かにすることができた、とても有意義な機会となりました。