「ON-AKAGANE」は、御銅師(おんあかがねし)という銅の職人たちによる、銅を使って「人々の想いを形にする」銅のカスタムオーダーサービスです。
「銅」は人類が最も古くから使っている金属と言われ、日本では伝統的に銅を「あかがね」と呼んでいました。
はじめは催事に使う鏡や仏像、神社建築などの神聖なものに使われていましたが、
徐々に日常の生活や暮らしに使う調理器具や食器、茶器や酒器なども作られるようになります。
そして銅を扱う職人のことを「御銅師(おんあかがねし)」と呼びました。
「ON-AKAGANE」は、伝統的な銅師の技と道具を活かし、銅が持つ魅力と可能性を形にします。
御銅師 田中 善
御銅師の家系に生まれ、若い頃から修行を積み、さまざまな銅技術を習得。
令和6年(2024年)、田善の19代目として株式会社タゼンの代表取締役に就任。創業者である田中善蔵は、慶長元年(1596年)、伊達政宗に大阪から仙台へ招かれ、その銅細工の腕に感銘を受けた政宗から「御飾職(おかざりしょく)」という役職を与えられる。
それ以来、タゼンは銅を中心に進化を続け、時代の要求に応じて変化を遂げてきた。19代目就任後も、「御銅師」として革新的なデザインと伝統的な職人技を巧みに融合させる職人商人として活躍している。

ON-AKAGANEの独自性
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- 道具と手仕事「温故知新」
- 銅の加工は、銅板を火にかけて鈍し(なまし)、槌(つち)で叩いて形を作り、再び火にかけ鈍した後に、水で冷やしてまた叩く、その繰り返しです。この銅を叩くことを「鍛金(たんきん)」と呼びます。ON-AKAGANEで使う槌や台座は100年以上使い続けられ、その道具の表面の模様と叩き方で作られる「槌目(つちめ)」は独特の個性を銅に生み出します。
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- 変化を楽しむ「経年美化」
- 銅は使うことで化学反応が進み、表面が変化します。このような銅のサビを緑青 (ろくしょう)と呼び、昔は有毒と誤解されていました。現代では全くの無害と証明されています。むしろ銅は、抗菌性や殺菌性に優れた金属です。ON-AKAGANEは、時間が経ち、表面が変化した姿を「さび」という銅の表情だと捉え、その風景を楽しむ心を「わび」として感じて欲しいと考えています。
ON-AKAGANEの制作工程
準備
- 罫書(ケガキ)
- 銅板に下図のあたりの線をつける。罫書針(ケガキバリ)、コンパス、マジック、等使用。
- 切取(キドリ)
- 銅板から罫書いた線を切り取る。金切鋏(カナ キリバサミ)、糸鋸(イトノコ)、電動糸鋸、台切 (ダイギリ)等使用。
成形
- 打出(ウチダシ)/ 張出(ハリダシ)
- 一枚の銅板を打起こし、ロール圧延された銅板の癖を取り、銅板に立体感と方向性を与える。木台、木槌等使用。打出し、立体形にして仕上げる。
- 絞(シボリ)
- 一枚の銅板を深型の立体形に仕上げる。
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- 変形絞(ヘンケイシボリ)/鎚起(ツイキ)/鍛金(タンキン)
- 鳥口(木の台桜、欅等)orハチノス(鉄の四角台)に刺した、当金(金属の受け手、Iの字、への字型)を使い、手で回しながら叩いて立体に造形する。
- ヘラ絞り(ヘラシボリ)
- 回転する旋盤を使い、テコの原理にて、型に銅板を鉄棒(ヘラ)で押し当て、立体を造形する。回転体の立体に適用。
- 折曲(オリマゲ)
- 銀杏の葉、折り曲げ板、折り曲げ機等を使い銅板を折り曲げる。
- アダ折
- 銅板を折り曲げ、縁の強度と安全性を高める。
- 巻(マキ)
- ヘリに銅丸棒等を一緒に丸め叩きこみ、カエシをつける。
接合
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- 半田付(ハンダヅケ)
- 銅の接合方法。主成分錫、銀。融点が約220℃。ガスバーナー、半田鏝(コテ)を使用。
- 鑞付(ロウヅケ)
- 銅の接合技法。主成分、真鍮or銀orリン銅。各融点が違う。
- 共付(トモヅケ)
- 銅と銅を溶かして接合。ガス溶接、TIG溶接。
- 鋲(ビョウ)
- 銅製のリベットを穴を開けた銅板に差し込み、叩いて潰して、板と板を接合する。
- ハゼ掛け
- 銅板を折り曲げ、挟み込み、板と板を接合する方法。
仕上
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- 均(ナラシ)
- 立体化した銅を、金槌で叩いて槌目を付け、表面を滑らかにする。
- 荒(アラシ)
- 表面を石で打ちつけたり等、特殊加工した金槌で行う均(ナラシ)作業。
- 鑢(ヤスリ)
- 罫書いた線に、より近づけ整える。また、怪我しないよう角を取る。ヤスリの目の荒い方から順に仕上げる。金鑢断面形状:平、半丸、丸など粗目→細目→油目など
- 彫金(チョウキン)
- 金属に意匠や装飾を施す技法。
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- 鏨(タガネ)
- 様々な形状の小指ぐらいの鋼の棒を、金槌で叩いて、銅板に意匠を打ち彫る。
- 刻印(コクイン)
- すでにロゴ、数字、アルファベット等、意匠が入った鏨を打ち彫る。
- 錫引(スズビキ)
- 銅に耐酸性を高めるため、溶かした錫を塗り込む。錫メッキ。
- 磨(ミガキ)
- 番数の細かい紙やすり、グラインダー、バフや研磨剤を使い銅に光沢を出す。
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- 色上(イロアゲ)
- 銅の着色技法。
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- 素(ソ)
- 銅そのままの仕上げ。
- 炎(エン)
- 熱で銅を発色させる。
- 染(セン)
- 硫黄、硫化カリウム(温泉の素)の化学変化で銅を発色させる。
- 炎染(エンセン)
- 染の銅板を炎加工したもの。
- 焼(ショウ)
- 銅の加熱・冷却で発色させる。
- イボタ蝋(イボタロウ)
- イボタの虫から採取されるワックス。熱で溶かして銅に塗り込み、拭き取る。
- 巻(マキ)
- 取手等に、紐や籐(トウ)を巻着付ける。
鍛金
ヘラ絞り
接合/ロウ付け
均
鑢
鏨
錫引
磨き
色上
ON-AKAGANEの着色技法
ON-AKAGANE では仕上げに4種類の着色技法を用意しています。それぞれ異なる色と表情、経年による変化を楽しんでください。
- 素 -So-
- 「素-So」という字は「自然な状態」を意味し、この製法では“槌目”(ハンマートーン)や曲げ加工などの物理的加工以外は施さず、銅本来の風合いと力強さを楽しめます。
- 炎 -En-
- 銅板を炎で焼いて酸化皮膜をつけて染色する「炎-En」。古来より続く最も原始的な加工により、赤や黄の虹色の波紋が現れ、移ろう銅の表情を楽しめます。
- 染 -Sen-
- 「染-Sen」は銅板を硫化カリウムで漆黒に染色する仕上げで、火から生まれるのが「炎-En」ならば、水から生まれるのが「染-Sen」。落ち着いた風合いが特徴です。
- 炎染 -Ensen-
- 硫化カリウムで漆黒に染色する仕上げ「染-Sen」に、炎で焼いて酸化皮膜をつけて染色する「炎-En」を掛け合わせた技法。深い青や緑の波紋が現れるのが特徴です。
- 焼 -Sho-
- 「焼鈍(やきなまし)」による銅の加熱・冷却で、酸化皮膜の厚さにより暗褐色の「黒」の中に鮮やかな「赫(あか)」の独特なコントラストが生まれ、唯一無二の模様が現れます。
ON-AKAGANE 発注の流れ
ON-AKAGANE は全ての作業を自社で一貫して行なっています。
ご納品まで責任を持って対応させていただきます。
まずはご相談ください。
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ヒアリング
銅の商品・設備を使う環境や求める機能、打ち出したいコンセプトについてヒアリングし、
ご要望を整理します。どんな想いをどんな形にしたいのか、
予算、納期など聞き取りさせていただきます。 -
ご提案
模型や図面、スケッチなどを使ったコンセプトモデルをご提示し、
方向性を確認するとともに、初回のお見積りと納期を提示いたします。 -
ご注文
商品・設備を設計の上、前金の振り込みが確認された後、御銅師が制作を開始します。
前金(見積り金額の2分の1以上)のご入金をいただき、正式なご注文になります。 -
中間報告
オンラインでの説明、あるいは製造途中の動画を提供し、
最終成果物と齟齬がないように調整いたします。 -
ご納品
納品時に残金のお支払いになります。
※銅の価格は建値により変動します。