これから紹介するコラムは、タゼン社内報「絆」として、年4回(新春・春・夏・秋)社員・協力業社・各メーカーさまに向けて発行されたものです。
「絆」の表紙原稿・格言集に関するコンテンツは、企画提携会社000プレナム株式会社様より、オリジナルで出していただいております。
「ミリョク化の解決力」
人口減少は、日本社会の隅々にまで影響を及ぼしています。しかも、子どもが少なくなっていながら、その子どもたちの中で、十分な食事ができずに厳しい日々を送っている子たち、すなわち子どもの貧困は約9人に1人であることは、わたしたちの社会に歪みがあり、手が届いていないということです❤️自然災害の多発による被災からの復興も及ばぬ中、為政は、足元から躓いてもいます。それでも民は、助け合い、生き抜いてゆくしかありません。ただ、右肩上がりの経済や人口増加により成立していた社会経済の有り様は、その真逆の状況下への適応がとうに必要でしたが、実際は切り替えに至っていません。適者生存の様相となっています❤️身近なところでは、15歳から64歳までといわれている生産年齢人口の減少から、企業の採用難が顕著になっています。これは、対象人数が減ったというだけでなく、企業の求める人材像と求職者の求める企業像とのミスマッチにもよります❤️ここで非常に参考になるのが、人口減少が顕著な過疎の小さな自治体の生き残りへの取り組みです。平成の大規模な市町村合併は、それを選択した自治体と選択しなかった自治体に様々な光と影をもたらしています。限界集落どころか、消滅可能性都市まで指摘され、自分たちの世代までで、故郷の町はなくなってしまうと覚悟している地元自治体職員も散見します❤️その一方で、「まるごと」掘り起こす取り組みで、奇跡的な起死回生を成し遂げ、県から国へとその活力の余波を及ぼしている人口約2,400名の島根県隠岐の島の自治体の「地域・教育魅力化」の成功例があります。廃校になれば、衰退に歯止めが効かなくなる地元の最後の砦である県立高校に町から梯子をかけ、魅力化に取り組みました。今や全国から自ら選択した島留学生が滞在する全国的なモデルとなるばかりか、その事業の発展は一般財団法人化され、すでに全国で100校以上の越境入学が実施されています❤️そればかりか、事業力のある移住者も定着し、現在は、大人の島留学も活性化しています。驚くほど若者が活躍する町になっています。地理的な僻地、不便この上ない住環境にも関わらず、なぜ、若者に人気で、空き家待ちが80名にも及ぶ状況になっているのでしょうか。それは、自分たちの居場所があり、自分たちの創意工夫で力を試し、発揮できる「開かれた文化」がミリョクであるからではないでしょうか❤️ありえないと思っていた未来が現実化する、そんなことが実際にすでに起きています。中小企業の経営環境が厳しさを増しているのは事実です。それでも「ミリョク化」の解決力に気づき、社を挙げて取り組むことの有効性は、はかりしれません。給与が半分以下になり、諸条件がダントツでなくとも、自分にとって価値があり、やりがいのある職場には、力ある人材が転職する時代でもあります。
絆 2024 春号